マグネットシート看板は「貼り合わせ」で品質が変わる
マグネットシート看板は、一見すると「マグネットに印刷した」のシンプルな商品に見えるかもしれません。
しかし実際には、マグネットシート・印刷用塩ビステッカー・ラミネートフィルムという性質の異なる素材を貼り合わせた複合製品です。
そのため、使用する材料の品質や相性、貼り合わせ方法によって、完成直後はほとんど同じように見えても、時間の経過とともに「反り」「縮み」「浮き」「剥がれ」などの違いが現れることがあります。
特に屋外や車両で使用するマグネット看板では、日射や気温の変化、雨、紫外線などの影響を受けるため、材料選びと加工品質が重要になります。
マグネット看板に使われる3種類のシート
一般的なフルカラー印刷のマグネット看板は、主に次の3つの材料から構成されています。

【表面】UVラミネートフィルム
印刷面を保護、紫外線、雨、汚れ、擦り傷などから守る透明のフィルムです。
【中間】印刷用塩ビステッカー
インクジェットプリンターなどでデザインを印刷した塩ビ素材のステッカー、マグネットシートへ貼り付ける事でマグネットにデザインする。
【裏面】マグネットシート
鉄板面に吸着する、看板のベースとなる材料です。強力で安定した磁力を持ち、繰り返し脱着が可能なシート。

つまりマグネットシート看板とは、UVラミネート + 塩ビステッカー + マグネットシートという3層のシートを貼り合わせた構造から出来た看板になります。
ここで重要なのが、3種類の材料はそれぞれ厚みや硬さだけでなく、熱による伸縮、柔軟性、寸法安定性などの性質が異なるということです。
この違いを考えずに材料を選んだり、不適切な条件で貼り合わせたりすると、後になって不具合が現れる原因になります。
貼り合わせ加工で起こる不具合
看板全体が「反って」しまう
相性問題1:マグネットシート×(塩ビステッカーとUVラミネート)
マグネット看板で注意したい不具合のひとつが「反り」です。例えば、塩ビステッカーやラミネートフィルムが施工後に収縮すると、表面側だけに縮もうとする力が加わります。一方、裏側のマグネットシートは同じ割合で縮むわけではありません。シート毎に縮む力もかかる力の方向も違います。

この素材ごとの寸法変化の差によって内部に応力が発生し、完成したマグネットシートが弓なりに反ったり、端部が持ち上がったりすることがあります。特に大きなサイズになるほど、わずかな収縮の差でも全体への影響が大きくなります。
このシートの収縮問題はマグネットシートとステッカーの問題だけでは無く、ラミネートも関係してきます。
ラミネートフィルムは印刷を保護する役割をもっていますが、このフィルム自体も様々な硬さや柔軟性、収縮の特性があります。
例えば柔らかい塩ビステッカーに硬いラミネートを組み合わせるとステッカー本来の柔軟性が損なわれるのはもちろん、ラミネートフィルムが反ってしまい、結果マグネットシート看板自体が時間の経過と共に反ってしまう事も。
逆に、柔らかすぎるステッカーだけでは実は直接板面に貼りにくいという問題があります。そこで硬いラミネートを貼り合わせる事で車に直接貼ったりする際には容易になるというメリットもあります。
大切なのはラミネートの有無だけでは無く、使用目的に合わせて塩ビステッカーとラミネートの相性まで考えて組み合わせることです。
ステッカーに「縮み」が発生する
相性問題2:塩ビステッカー
塩ビステッカーは、素材の品質によって寸法の安定性に違いがあります。特に低品質なシートの場合、施工直後はきれいに仕上がっていても、時間の経過や温度変化によって徐々に収縮することがあります。
すると、
・マグネットの端が見えてくる
・印刷面とマグネットの位置がずれる
・端部に粘着剤が残って見える
・看板全体に反りが発生する
といった症状がマグネット看板に出てしまいます

※参考の写真は同時期に出力したステッカーですが、短期用ステッカーはステッカーが縮んで下の離型紙が大幅に見えてしまっています。
マグネット看板の表から見える不具合の多くはマグネットシート自体に問題があるように見えて、実際には表面に貼った塩ビステッカーの収縮が原因というケースが実は多く見られます。
マグネットの端の浮きや剥がれ
相性問題3:マグネットシート×塩ビステッカー
貼り合わせる塩ビステッカーの粘着剤も重要です。
マグネットシート表面との相性が悪かったり、粘着性能が十分でなかったりすると、時間の経過とともにシートの端から浮きが発生する場合があります。屋外では夏場の高温、冬場の低温、雨水など、室内よりも厳しい環境にさらされます。
特に車両用マグネット看板の場合、走行中には風圧も受けるため、わずかな浮きが大きな剥離につながる可能性があります。
そのため、単純に「粘着力が強ければ良い」というわけではなく、使用するマグネットシートとの相性や屋外環境を考慮した材料選定が必要です。

加工技術による仕上がりの違い
捕捉:技術も大事
ステッカーやラミネートなどの貼り合わせ加工そのものの精度も、商品の仕上がりを左右します。
塩ビステッカーをマグネットへ貼る際に空気を巻き込めば気泡が残ります。また、ゴミや異物が入れば表面に小さな突起が現れ、シートを引っ張りながら施工すれば、その場ではきれいでも後から縮みや反りにつながる可能性があります。
そのため、使用する材料だけでなく、適切な設備と条件で安定して貼り合わせる加工技術も品質を決める重要な要素です。

「低品質な素材」と「適切な素材」の違い
マグネット看板は、完成した直後だけを比較すると品質差が分かりにくい商品です。
シート同士の相性によって起こる問題もありますが、シートの品質自体でも問題は起こってしまいます。
ただ、新品の状態では低価格な材料を使用したものでも一見すると大きな違いがなかったりします。
実際に『安い材料』と『適切な材料』を使った違いが現れやすいのは、実際に使用を始めてから時間が経ってから判る場合が多いのです。
低品質なシートで起こりやすい問題
●印刷面の退色や劣化が早い ●塩ビステッカーが縮む ●表面に波打ちが発生する ●高温時に粘着剤が影響を受ける ●マグネットシートが反る ○四隅や端部が浮く ○ラミネートが剥離する ○繰り返し使用すると形状が崩れやすい ○カット部分や角部分の仕上がりが安定しない
『●』で書いた問題は特に低品質な商品を使う事で起こりやすいですが、こうした問題は単一の素材だけが問題とは限りません。
「マグネット」「塩ビ」「ラミネート」という異なる材料の組み合わせによって発生するところが、マグネット看板の品質管理の難しい部分です。
「材料単体」ではなく「組み合わせた状態での品質」
当店では、単純に「厚いマグネットだから高品質」「高価なラミネートだから安心」といった考え方ではなく、組み合わせた状態『完成品』としてのバランスを重視しています。
実際にマグネットシート看板として使用したときに『しっかり吸着すること』『反りや縮みが起こりにくいこと』『印刷面が長くキレイに保てること』『屋外でも安心して使えること』『看板として美しく仕上がっていること』
これらを総合的に大切にし、用途に適した材料と加工方法を繰り返しテストして選定することが大事だと考えています!





